【自分と世界の繋がり2】~BLACK GOLDで生きる編~
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- 2021年5月6日
- 読了時間: 4分

【目次】
1.最後にBLACK GOLDを口にしたのはいつですか?
突然ですが質問です!最後に“BLACK GOLD”を口にしたのはいつですか?
昨日?5日前??もしかしたら今の方もいるかもしれませんね。
“黒い黄金”。黒くて、みんなが欲しがる市場価値の高いもの。。。
そうです、コーヒーのことです。
学校帰りに買ったスタバのラテは、あなたの手元にくるまで、どんなストーリーを辿ってきたのでしょうか??それを知っていて、もしくは意識をしてコーヒーを飲む日本人はどれだけいるでしょうか。
今回は、映画「おいしいコーヒーの真実」を参考にして、エチオピア連邦共和国の様子を一緒に覗いてみましょう!
2.エチオピアの様子

コーヒー発祥の地といわれるエチオピア。この国でコーヒー豆は(電力輸出を含む)輸出額全体の3割(2017/2018)を占める最大品目で[1]、約1500万人の生活を支えています。
しかしそのコーヒー豆は、最高峰の品質に到底見合わない価格で取引されています。
どのくらい不公平なのか、数字で考えてみましょう。
西欧諸国で購入できるコーヒー1杯は平均25ブル(≒327円)です。
コーヒー豆1kgで約80杯のコーヒーが作れます。
単純計算(25ブル×80杯)で、コーヒー豆1kgは2000ブル(≒25,128円)の価値があることがわかります。
では、実際にコーヒー農家がコーヒー1kg当たりに受け取るのは何ブルだと思いますか?
「せいぜい2ブル。」「0.75ブルのときもある。」「相場を知らない僕らは交渉をする間もなく、やつら(取引相手)の言いなりだ。」
と、映画の中でコーヒー農家が口々に言います。
手作業でコーヒー豆の選別をする女性たちの日給は4.5ブル(0.5米ドル≒54円)以下です。
コーヒーの木は植林後、商品となる豆が取れるまで最低4年の時と手入れを必要とします。コーヒーだけでは生計が立てられない多くのコーヒー農家は、チャットを栽培します。これは日本では麻薬に指定されている覚醒植物です[2]。なぜ薬物を売るのか・・・チャットは20本足らずで30ブルで売れるのです。
「車、電化製品、オートバイを買うための改善ではなく、家族に栄養ある食事と安全な水を与えて、子どもを通学させるための改善」が目的だと語るオロミア州コーヒー農協連合会[3]代表のタゼッセさん。そのためには現状の10倍の価格でコーヒー豆が取引される必要があります。
3.「先進国」とのコントラスト
コーヒーの国際価格はニューヨーク市場で決まります。ニューヨーク商品取引所では、スーツを身にまとって数字を見つめる人たちが怒鳴り合っているような様子が映されていました。
また、エチオピアのコーヒー農家の様子と、ニューヨークでコーヒーを飲む人の手元ややイタリアのコーヒースタンドのバリスタなどの様子が切り替わっていく様子も、この映画の印象的な部分でした。

あなたが飲むコーヒーはどんなストーリーを持っているのでしょうか?
コップに口を近づけるとき、あなたは何を考えていますか?
自分一人の意識では、何も変わらないかもしれない。けれど、自分一人の意識さえも自分で変えられなければ、隣にいる人、そして世界の反対側に住む人のことを変えられる可能性は生まれないと思うのです。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございます!
みなさんがカフェや自動販売機でコーヒー(やコーヒー豆を使用したもの)を購入するとき、なにか気をつけていることや考えることはありますか?
記事の感想などもコメントしていただけるととても嬉しいです:)
次回の記事もお楽しみに!
執筆者:FEST TOKYO 11期国内フォトワーク事業部 高橋日向子


[参考]
映画「おいしいコーヒーの真実」、マーク・フレンシス、ニック・フレンシス監督、2008年
「おいしいコーヒーの真実」HP、about the MOVIE「おいしいコーヒーの真実」について(最終閲覧2021/05/01/18:37)
JETRO、ビジネス短信「今後3年でコーヒー6割増産目指す、『Cup pf Excellence』開催で品質向上も」(最終閲覧2021/05/01/18:03)
東洋経済、なぜエチオピアは「薬物」を輸出しているのか-貧しさゆえの負の連鎖が続いている-(最終閲覧2021/05/01/18:15)
[註]
[1] JETRO、ビジネス短信「今後3年でコーヒー6割増産目指す、『Cup pf Excellence』開催で品質向上も」(最終閲覧2021/05/01/18:03)
[2] 東洋経済、なぜエチオピアは「薬物」を輸出しているのか-貧しさゆえの負の連鎖が続いている-(最終閲覧2021/05/01/18:15)
[3] エチオピアの74000人以上のコーヒー農家を束ね、コーヒーのフェアトレードを求めている。
人々が日常的に口にするものこそ、その背景をちゃんと考えたいですね。僕は母の日にコーヒーを買いましたが、ネット上でフェアトレードコーヒーを見つけるのに意外とてこづりました。もっと世の中が、そういった選択肢を選べるような環境を整備しなければならないかもしれません。