【自分と世界の繋がり6】〜世界のトイレ事情を考えよう!編〜
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- 2021年8月18日
- 読了時間: 4分

【自分と世界の繋がり6】世界のトイレ事情を考えよう!
1.世界のトイレ事情
皆さんは、世界のトイレ事情について考えたことはありますか⁇
多くの外国人が訪日する際、日本のトイレに度々注目が集まります。今回のオリンピックでも、海外選手が日本の温水洗浄便座をSNS上で紹介し反響を呼んでいます。このように日本のトイレは世界と比べて、とても優れていると言われています。
しかし、世界に目を向けると劣悪な衛生環境の中で暮らす人も多く存在し、様々な問題が存在しています。では、世界のトイレ事情とは一体どのようなものでしょうか⁇
この記事を通して、世界のトイレ事情について目を向けてみましょう!
2. 世界のトイレの現状
2019年に発表されたユニセフと世界保健機関(WHO)の報告によると、世界の約42億人が安全に管理されたトイレを使用できていません。このうち、6億7300万は、屋外排泄をしています。また、世界人口の26%にあたる約20億人が、限定的なトイレ、改善されていないトイレを使用しています。屋外排泄をしている人口が、39か国で増加しており、特にサハラ以南のアフリカの国に多い傾向があります。
具体的な世界の人々のトイレへのアクセス状況とその定義については、以下にまとめてあります。
a.)世界の人々のトイレへのアクセス状況
衛生施設(トイレ)に関するデータの定義
1. 安全に管理された衛生施設(トイレ)
排泄物がその他と接触しないように分けらている、または別の場所に衛生的に処理される設備が備えられている。また他の世帯と共有していない、改善された衛生施設(トイレ)
2. 基本的な衛生施設(トイレ)
他の世帯と共有していない、改善されている衛生施設(トイレ)
3. 限定的な衛生施設(トイレ)
2世帯以上で共有している、改善された衛生施設(トイレ)
4. 改善された衛生施設(トイレ)
人が排泄物と接触しないように衛生的に設計された衛生施設(トイレ)
例:水洗トイレ、足場付きピットトイレ、コンポストトイレなど
5. 改善されていない衛生施設(トイレ)
足場がないピット式トイレ、バケツに排泄し外に捨てる方式のトイレ、池や川の上に設置され、排泄物が池などにそのまま落ちる方式のトイレ
6. 屋外排泄
道端、野原、森、海岸などその他屋外で排泄すること
(出典:ユニセフ「衛生的な環境(トイレ)」, 2018)
3.トイレないことによるリスクとは⁇
考えられるトイレがないことによるリスクは、大きく6つあります。
1つ目は、感染病にかかりやすくなるということです。不衛生なトイレによって、糞尿に含まれる細菌が体内に侵入しやすくなります。これにより下痢性疾患などの病気や感染症が引き起こし、毎年289,000人の子供たちが命を落としています。
2つ目は、女性や女の子たちを危険に晒してしまうということです。家にトイレがないために、女性や女の子たちは暗くなるのを待ってから、用を足すため静かな場所を探します。そのため、襲われたりレイプされたりする恐れがあり、用を足すだけでも、命と尊厳が傷つけられてしまう危険性があるのです。
3つ目は、月経に対応することが困難であるということです。学校や家庭に整ったトイレがなければ、安全に尊厳をもって月経に対応することは不可能です。そのため、トイレがない地域では、月経が始まる年齢になると退学する女の子が多く存在しています。
4つ目は、よい医療が行き届かなくなるということです。コミュニティの衛生状況が適切でないということは、同様に医療施設にも適切な衛生設備がないということです。患者や医療従事者は、本来予防可能な感染症によって命を脅かされる危険があります。
5つ目は、貧困から抜け出すことができないということです。不衛生な環境によってコミュニティの人々が頻繁に病気にかかっている場合、生産性のある仕事をしたり、子供たちが学校に通い続けたりすることは困難です。適切な衛生環境なしで近代化と繁栄を成し遂げた都市や国はありません。
6つ目は、経済に悪影響を及ぼすということです。衛生設備の不備、清潔でない水や衛生教育が行き届いていないことによる病気が原因で、保健医療費の支出、ならびに生産力の低下が生じ、結果として多くの国は、GDPの最大5%分を失うことになります。この数字は、2008年の経済危機のピーク時に起きた途上国経済の下落よりも大きいのです。
(出典:WaterAid,「トイレ課題」)
4.私達に出来ること
世界のトイレ事情に目を向け、劣悪な衛生環境や衛生施設により起きてしまっている問題について考えてみましょう!多くの人が世界のトイレ事情とその問題を自分ごととして捉えられる事が、問題解決の第一歩となります。
そして、それらの問題に対応している国際機関やNGO・NPOを、寄付や労働力の提供を通して支援していきましょう!
皆さんは世界のトイレ事情についてどのように感じましたか?記事の感想や意見も大歓迎です。取り上げて欲しい記事の案も大募集中です!!
それでは、次回の記事もお楽しみに!!
執筆者:FEST TOKYO 11期国内フォトワーク事業部/Co-In班 服部夏未
参照:ユニセフ,「衛生的な環境(トイレ)」,2018 https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act01_03_sanitation.html WaterAid,「トイレ課題」 https://www.wateraid.org/jp/crisis/sanitation
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