【自分と世界の繋がり３】～こんなにいる？？？自動販売機編～

国内フォト
2021年5月19日
読了時間: 4分

【目次】

ドイツで友達に「日本って電気無駄遣いしすぎじゃない？」って言われた話
自動販売機普及率（人口比）世界一は〇〇！！！
飲料自動販売機と電力消費量
「過剰」の「日常化」

1.　ドイツで友達に「日本って電気無駄遣いしすぎじゃない？」って言われた話

以前（といっても４年ほど前）、ドイツで友達といつものように話していたら、「日本って電気無駄遣いしすぎじゃない？」とザックリ。急だったもので私はビックリ。

なぜそう思うのかとワケを尋ねると…「いやだって、自販機ありすぎでしょ。」と。「24時間365日冷やしたり温めたりし続ける機械が、なんで同じ場所に何個もあるの？何のためなの？」と。それを聞いた私は余計にギックリ。それまで意識してこなかった分、「確かにな……」としか思えず閉口。

4年経った今でも、この会話は、日本での日常に疑問符を投げる姿勢を私に教えてくれます。

2.　自動販売機普及率（人口比）世界一は〇〇！！！

世界で一番自動販売機が多い国はどこでしょう？

これはアメリカ合衆国の約650万台です。

そんなにあるんだ！？と思われる方もいるかもしれませんね。でも、あれだけ広い国で、あれだけ多くの人が暮らしている国なわけですから、納得もできます。

それに対して、日本は約494万台です。

んんんんんん？？！多くないか？！と思われた方、私と同じです（笑）。アメリカの約26分の１の国土に、アメリカの約３分の１の人口のために、こんなに自動販売機があるのです。ピーク時（2000年）には560万台もありました。

日本に自動販売機が普及してきた理由としては、治安の良さや、都市など採算が見込める場所が多いということがあります。そして、飲料メーカーが無償で自動販売機の貸し出しを始めると、小売店や個人が自動販売機を設置するようになりました。現在でも、缶・ビン・PETボトル入の清涼飲料を販売する自販機の設置には許可が必要ないことをご存知でしたか？

このようにして、日本には自動販売機がぞくぞくと増えてきたのです。

【撮影：執筆者の父】

3.　飲料自動販売機と電力消費量

そのうち半数以上の240万900台は清涼飲料の自動販売機で[1]、最も頻繁に目にするのではないでしょうか。自販機で売られているコールド用缶飲料は通常5℃前後に冷却され、ホット用缶飲料は55℃前後に加熱されて販売されています。

この温度管理が24時間365日ずっと行われていれば、電力消費量が膨れ上がることは想像に難くないと思います。実際にこれだけの自動販売機を正常に稼働させておくために必要とされる総年間消費電力は、東京電力福島第一原子力発電所1号機の年間発電量の約1.5倍に相当するものだそうです[2]。

省エネ型自動販売機の導入が進み、2018年の総年間消費電力は2005年比で63.8%削減されました。ヒートポンプ自販機[3]や、周囲の明るさを感知して照明をコントロールする自販機など、消費電力削減のための取り組みが続いています。

しか～～～～し！いくら個々の自動販売機が「省エネ化」しても限界がありますよね。現在の自動販売機飽和状態から抜け出すことが必要だと思うのです。

日本の総年間消費電力（2019年）は918TWh[4]で世界5位です。（1位：中国、2位：アメリカ合衆国、3位：インド、4位：ロシア）[5]1~4位の国とは国土や人口に大きな差があるにも関わらず、第５位なのです。最低位のナイジェリアの24TWhと比較してみてください。

日本は「先進国」だから仕方ないのでしょうか？

いやいや、"省"ける"エネルギー"は身近にたくさんあるはずです！

4.　「過剰」の「日常化」

ここまで記事をお読みいただき、ありがとうございます！

それにしても、自動販売機はもう「景色」の一部になっていますよね。今回は自動販売機を取り上げましたが、あまりにも馴染んでいるために、違和感を感じられなくなっているものは、日常に溢れているはずです。

これからますます気温が上がり、自動販売機にお世話になる機会も増えるかと思います。そのときに一瞬でもこの記事のことを思い出してもらえますように…：）

簡単な記事の感想や、あなたの意見など、気軽にコメントをお寄せください！

お待ちしています。

次回投稿もお楽しみに：）

執筆者：FEST TOKYO11　期国内フォトワーク事業部　高橋日向子

［註］
[1] 一般社団法人日本自動販売機工業会の調査（2018年末）
[2] 自販機へらそうキャンペーン事務局のパンフレット
[3] 三菱電機ITソリューションズ株式会社HP、ソリューション・エクスプレス、ガラパゴス化が進む日本の自動販売機の未来
[4] 1TWh＝10億kWh
[5] グローバルエネルギー統計イヤーブック2020

［参考］
acure Lounge、自動販売機がない世界なんて考えられない?!そういえば、いつからあるの＞自動販売機の歴史を紐解く〈自販機クロニクル〉（最終閲覧2021/05/06/16:09）
一般社団法人全国清涼飲料連合会、清涼飲料水Q&A（最終閲覧2021/05/06/16:18）
グローバルエネルギー統計イヤーブック2020（最終閲覧2021/05/06/16:21）
自販機へらそうキャンペーン事務局のパンフレット
三菱電機ITソリューションズ株式会社HP、ソリューション・エクスプレス、ガラパゴス化が進む日本の自動販売機の未来（最終閲覧2021/05/06/15/40）